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この記事で学べること
✅ スキーマの基本概念と心理学的背景
✅ スキーマがコーチングで重要な理由
✅ クライアントのスキーマを理解する具体的方法
✅ スキーマ転換を促す質問技法
✅ ケーススタディ
コーチング学習者やビジネスパーソンが知っておきたい「スキーマ」。心理学に基づき、思考のクセを理解して自己理解・行動変容を促すポイントを解説します。
第1部:基礎理解編
1. スキーマとは何か
スキーマとは、過去の経験から形成された、情報を理解・解釈するための認知的な枠組みです。
私たちが世界を見る「色眼鏡」のようなもので、
心理学では「schema(スキーマ)」または「スキーム」と呼ばれたりします。
スキーマは、日常生活の中で無自覚・無意識に機能しています。スキーマを理解すると、コーチングセッションの質が向上し、クライアント(受け手)の行動変容や自己理解を加速させることができます。
1-1 日常に潜むスキーマの実例
私たちは、初めての場所でも、適切にふるまうことができます。不思議だと思いませんか。また、見たり、聞いたりしただけですぐに理解できることもあれば、できないことがある。
私たちは、常に「行間を読む」こと。情報補足をすることで、その場に対応しています。いくつか例をみていきましょう。
【例1:レストランでの行動】
レストランに入るとすぐに、あなたは自然に行動しています。初めての場所なのに、わかることってありませんか?

どのようにオーダーするのか、どんな順番で食事にたどり着けるのか。どうふるまうのか。
この一連の流れがスムーズなのは、あなたの頭の中にお店でどう行動するかの「スキーマ」が存在するからです。誰も教えてくれなくても、初来店でも、あなたは「次に何をすべきか」を知っています。
【例2:文化によるスキーマの違い】
海外の前衛的な映画を見て、ストーリーが理解できなくなる経験はありませんか?
前衛的とは、既存の枠や常識にとらわれず、革新的なものをいいます。
わたしは、あります。クリストファー・ノーラン監督のTENET(テネット)です。未来のテクノロジーによって時間を自由に逆行させることができるという。画期的な発想ですが、時間軸がどんどん変わるので少し混乱したのを覚えています。
こういった理解しがたいという違和感が発生するのは、情報を補う「スキーマ」が不足しているからです。
また、海外の映画でよくあるのは、文化背景の「スキーマ」の不足。製作された国の文化では、当たりまえなことも文化が違えば理解できないことが多々あります。
【例3:専門知識とスキーマ】
専門分野の論文を一般人が読んでも理解できないのは、専門分野のスキーマがないからです。
書かれている言葉の単語のところどころは理解できても難しさを感じる。
「行間に何が前提とされているか」が分からない。「この記述が意味する重要性」が判断できない。「次にどう展開するか」が予測できない。これらが頻出すると読むことが辛くなります。
つまり: スキーマは私たちが情報を理解するために必須のインフラなのです。
クライアントもまた、独自のスキーマを通して世界を見ています。
・「上司が冷たい」
・「私には能力がない」
・「この業界は保守的だ」」
これらは「事実」ではなく、クライアントのスキーマを通した解釈なのです。
2. コーチングでスキーマが重要な3つの理由
理由1: スキーマが「何を見るか」を決めている
人はスキーマに合う情報にのみ注意を向けます。
【実験:研究室の記憶テスト】
大学教授の研究室を訪問した学生に、5分後に「何があったか」を思い出してもらいました。
結果:
✅ 珍しいもの(巨大な恐竜の化石)は、とても鮮明に記憶されていた。
❌ 当然あるもの(本棚、机、パソコン)→ あやふやな記憶なので、あったかどうだか定かではない。
どうしてこのような曖昧な記憶になるのでしょう。
人は、あたりまえになっている「あるはずのもの」は、空気と同じ。注意を向けることや意識することが希薄になってしまいがちです。また、記憶とは、常に補完されて表出します。思い出されるときに、その人が思い込んでいる「研究室のスキーマ」が勝手に出てきて、情報がつくられていくのです。
あったのに「ない」ことになっていたり、なかったのに「ある」ことになっていたり。
クライアントの言う「事実」は、スキーマで再構成された記憶の可能性があります
・「上司はいつも私を否定する」→ 本当に「いつも」なのか?
・「誰も協力してくれない」→ 協力的な行動を見逃していないか?
コーチの役割: スキーマによって見落とされた事実に気づかせることにあります
理由2: スキーマが「行動」を決定している
スキーマは単なる「考え方」ではありません。行動を直接支配します。
【スキーマが行動に与える影響】
スキーマは、思考・感情・行動を自動的につなぐ“情報のインフラ”です。
一度できたスキーマが強化されると、過去の経験を繰り返し再生し、同じ行動パターンを無意識に再現してしまいます。

悪循環の完成です!!!!
・「成長マインドセット」を持つ人は、失敗後も40%高い確率で再挑戦する(Dweck, 2006)
・「固定マインドセット」を持つ人は、フィードバックを脅威として認識する傾向が3倍高い
理由3: 真の行動変容はスキーマレベルで起こる
表面的なテクニックやノウハウでは、一時的な変化しか生まれません。
【2つのアプローチの比較】
| アプローチ | 介入レベル | 効果 | 持続性 |
|---|---|---|---|
| 表面的コーチング | 行動・スキル | ノウハウを教える | 短期的 |
| スキーマに介入する コーチング | 認知の枠組み | 思考パターンを転換 | 長期的 |
例:
❌ 表面的: 「プレゼンについて指導する」や「プレゼンのやり方について話してもらう」
→ 「苦手」というスキーマは残る → すぐ元に戻る
✅ スキーマレベル: 「『苦手』というスキーマ自体を問い直す」
→ 「緊張は自然。準備すれば対応できる」など、苦手だと思い込んだ要因を特定
→ できるに転換
→ 次からの行動も変えられる
クライアントのスキーマを明らかにし、必要に応じてスキーマの進化を促すこと。
3. スキーマの光と影
スキーマには良い面と悪い面の二面性があります。
3-1 良い側面:認知の効率化
スキーマがあることで、思考のショートカットが可能となります。
【スキーマがもたらす利点】
✅ 予測能力: 次に何が起こるかを予測できる
✅ 意思決定の迅速化: 瞬時に適切な行動を選べる
✅ コミュニケーションの円滑化: 「察する」ことができる
✅ 学習の加速: 新しい情報を既存知識に統合できる
✅ 認知負荷の軽減: 全てをゼロから考えなくて済む
例: 初めて行くレストランでも、「注文→食事→会計」の流れが分かるなど。当たっているかは、さておき。自分が経験したことをもとに行動することができます。
3-2 悪い側面:思考の硬直化
同じスキーマが成長を妨げることもあります。
【スキーマがもたらすリスク】
❌ 確証バイアス: 自分の信念に合う情報だけ見る
❌ 思い込みの強化: 誤った信念が経験によって強化される
❌ 新しい可能性の見落とし: 既存の枠組みから外れた選択肢に気づかない
❌ ステレオタイプ: 「〇〇はこういうもの」と決めつける
❌ 変化への抵抗: 新しい情報を拒絶する
推測や憶測による誤解。思い込みによる失敗やミスが誘発されたり、認知の柔軟性に影響を与える側面があります。
確証バイアス(Confirmation Bias)とは: 自分の信念や仮説を支持する情報ばかりに注意を向け、反対する情報を無視または軽視する心理傾向。
例: 「私はリーダーに向いていない」と思っている人は:
✅ 失敗経験は鮮明に記憶
❌ 成功経験は「たまたま」と解釈して記憶しない
3-3 スキーマの誤りと修正の困難さ
【誤ったスキーマが引き起こす悪循環】
❶ 誤ったスキーマを持つ
↓
❷ スキーマに合わない情報を見落とす
↓
❸ スキーマに合う情報だけ記憶する
↓
❹ 誤ったスキーマが強化される
↓
❺ ますます修正が困難になる(❶に戻る)
【スキーマ修正が可能になる条件】
スキーマの修正は容易ではありませんが、以下の条件で可能になります:
- 矛盾の認識: 自分の理論と矛盾する現象を明確に認識する
- 安全な環境: 間違いを認めても大丈夫な心理的安全性
- 代替案の提示: 新しいスキーマの具体的なイメージ
- 小さな実験: 新しいスキーマを試す体験
- 継続的フィードバック: 変化を定期的に振り返る
熟達していく上で大事なことは、誤ったスキーマを作らないことではなく、誤った知識を修正し、それとともに スキーマを修正し続けること。
コーチの役割は、クライアントがスキーマを柔軟に更新し続ける力を育むことにある。
【第1部のまとめ】
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| スキーマとは | 過去の経験から形成された、情報を理解・解釈する認知的枠組み |
| 重要な理由 | ①何を見るかを決める ②行動を決定する ③真の変容はここで起こる |
| 二面性 | 良い側面:認知の効率化 / 悪い側面:思考の硬直化 |
| 修正の鍵 | 矛盾の認識 × 安全な環境 × 小さな実験 |

第2部:認知メカニズム編
4.記憶とスキーマの関係
4-1 衝撃の事実:記憶は客観的ではない
🧠 認知心理学の発見
私たちは物事を客観的に記憶できないようにできています。というのも人は常に、スキーマを使って情報を解釈し、解釈した結果を記憶しているからです。
つまり
記憶=事実を捉えた解釈+スキーマ
【記憶とスキーマの3つの関係】
❶ スキーマが「何を記憶するか」を決める
人は注意を向けた情報だけを記憶します。
そしてスキーマに合う情報にのみ注意を向けます。
例:
スキーマ:「この会議は無駄だ」
注意:無駄な議論、脱線した話題にのみ注目
記憶:「やっぱり無駄な会議だった」
見落とし:有益な情報交換、重要な決定事項
❷ スキーマが「記憶を歪める」
バートレットの実験(1932)
イギリスの心理学者バートレットは、被験者に北米先住民の民話を読ませ、後日復唱を促しました。
すると結果は、元の話にない要素が追加され、不可解な部分が自文化で理解可能な形に脚色されていました。
ストーリーが単純化・合理化される
→ 人は自分のスキーマに合うように記憶を再構成している!!!
イギリスの心理学者フレデリック・バートレット(Frederic Bartlett, 1886-1969)は、著書『Remembering(想起の心理学)』(1932)で、人間の記憶が過去の経験に基づくスキーマによって再構成されることを実証しました。
これは「記憶=録画」という従来の考えを覆す、画期的な発見でした。
❸ スキーマが「ないものを記憶させる」
前述の「研究室実験」を思い出して下さい。
実際には見ていないものを「あった」と記憶したり、「あったもの」をなかったことになる。
そして、記憶があやふやだという自覚もないのが私たちの通常のモードなのです。
これは、スキーマが自動的に情報補完を行い、空白を埋めることで起きている現象です。
4-2 コーチングセッションでの実例
【ケース:記憶の歪みに気づく】
クライアント: 「先月のプレゼンで、上司から全否定されました」
コーチ: 「全否定、ですか。具体的にどんな言葉でしたか?」
クライアント: 「えっと…『ここは改善の余地があるね』と…」
コーチ: 「なるほど、他にはどんな言葉がありましたか?」
クライアント: 「『前半は良かったけど、後半の論理展開が弱い』と…」
コーチ: 「それは『全否定』という言葉最初に出てきましたが、振返ってみて実際はいかがですか?」
クライアント: 「…あ、違いますね。部分的な指摘でしたね」
分析: 実際のコーチングの場面では、こういった一般化された表現が少なくありません。
実際の発言: 「改善の余地」「前半は良い」「後半が弱い」
スキーマ: 「私はプレゼンが苦手」「上司は厳しい」
記憶の歪み: 「全否定された」
スキーマが記憶を歪め、実際より否定的に再構成していました。
効果的な質問:
「具体的にどんな言葉でしたか?」(事実の確認)
「それをどう解釈しましたか?」(解釈とスキーマの分離)
「他の解釈の可能性はありますか?」(スキーマの柔軟化)
5.学習を10倍速にするスキーマの力
スキーマという情報処理の仕組みがあることで、私たちの学習速度はかなり上がります。成長速度への影響をみていきましょう。
5-1 スキーマは知識を「圧縮」する
スキーマの最大の力は、膨大な情報を効率的に処理できることにあります。
【スキーマがあると…】(良い側面でも書きましたが)
✅ 予測できる: 次に何が起こるか分かる
✅ 注意を向けられる: 重要な情報が何か分かる
✅ 理解できる: 文脈や意味が分かる
✅ 記憶できる: 既存知識に統合して記憶できる
【スキーマがないと…】
❌ 全ての情報が等しく重要に見えて判断ができない
❌ 何に注意を向けるべきか分からない
❌ 情報の意味が理解できない
❌ 記憶することが著しく困難
【実例:チェスの記憶実験】
実験内容:
チェスの名人と初心者に、20秒間チェス盤を見せて、その後、駒の配置を再現してもらいました。
すると結果は、
①実際のゲームの途中盤面の再現では、 名人はほぼ完璧、初心者は数個のみでした。
②ゲームの盤面ではなく、駒をでたらめにおいたランダム配置では、 名人も初心者も同程度でした。
どうして①では、完璧に答えられた名人が②では、再現できなかったのでしょう。
それは、名人は、「チェスの定石」というスキーマを持っているためでした。
意味のある配置 → スキーマで圧縮して記憶(10倍効率)
ランダム配置 → スキーマが使えない(通常の記憶力)
学習の本質は、個々の知識を覚えることではなく、知識を体系化する「スキーマ」を構築すること。
これが「学び方の学び(メタ学習)」である。
5-2 子供の言語学習とスキーマ
子供の言語習得は、スキーマ構築のプロセスを理解するのに最適です。ここからは、コーチングとは離れますが人がどのように学習修得していくかについてみていきましょう。
【子供がやっていること】
子供の言語習得は、通常①~⑤のプロセスを経て自動的に行われています。小さな子供が音の特徴を捉えて繰り返し発話する場面を思い浮かべてください。
①パターン発見: 耳にする言語を分析し、規則性を見つける
⇩
②仮説構築: 「たぶんこういうルールだろう」と暫定的スキーマを作る
⇩
③実験: その仮説で話してみる
⇩
④修正: フィードバックに基づきスキーマを修正
⇩
⑤精緻化: スキーマがより正確になる
優れたコーチは、クライアントが持つ「暫定的スキーマ」を認識し、そのスキーマを一緒に検証する
そして、必要に応じてスキーマの修正を支援する
5-3 ピアジェの同化と調節
スイスの心理学者ジャン・ピアジェ(Jean Piaget, 1896-1980)は、子供の認知発達をスキーマの進化過程として説明しました。
同化(Assimilation):
新しい情報を既存のスキーマに当てはめて理解すること。
例: 子供が初めて馬を見て「大きい犬!」と言う(「四つ足の動物=犬」スキーマに同化)
調節(Accommodation):
既存のスキーマでは説明できない情報に出会った時、スキーマ自体を修正すること。
例: 「これは馬という別の動物だ」と学び、スキーマを拡張
【学習と発達のメカニズム】
新しい情報に触れるたび、脳は「既存の枠に当てはまるか」を確認し、合わなければスキーマを修正します。
この“同化と調節”の繰り返しが、学習過程で無意識に起きています。

同化と調節は、クライアントの可能性を最大化させていくプロセスでも活用場面がたくさんあります。
【同化の促進】: 既存のスキーマを活用する質問例
「これは以前の〇〇と似ていませんか?」
「あなたの経験を、この状況にどう活かせますか?」
【調節の促進】: スキーマの更新をするアプローチ例
「これまでの考え方では説明できないことが起きていますね」
「新しい枠組みで捉え直すと、どう見えますか?」
6.誤ったスキーマが成長を止める仕組み
スキーマは、私たちの成長を促進させるために役立つ反面、成長を止めてしまう側面もあります。誤ったスキーマが成長を阻む仕組みをみていきましょう。
6-1 スキーマは「思い込み」でもある
スキーマは経験に基づいて作られた、いわば「思い込み」です。
✅ 多くの場合、うまく機能する
❌ しかし、常に正しいとは限らない
子供は暫定的に理解していた単語の意味を柔軟に修正できます。しかし、物事を捉える枠組み(スキーマ)が誤っていると、学習は著しく困難になります。
6-2 誤ったスキーマの自己強化サイクル
注意すべき、最も厄介なのは、誤ったスキーマは自動的に強化されることです。
【悪循環の5ステップ】
❶ 誤ったスキーマを持つ
例:「私はリーダーに向いていない」
↓
❷ スキーマに合う情報にのみ注意を向ける
例:指示が曖昧だと指摘された場面を記憶
↓
❸ スキーマに合わない情報を見落とす
例:チームメンバーからの感謝の言葉を忘れる
↓
❹ スキーマに合うように記憶を再構成
例:「プロジェクトは成功したが、それは運が良かっただけ」
↓
❺ 誤ったスキーマがさらに強化される
例:「やっぱり私はリーダーに向いていない」(❶に戻る)
こうして、誤ったスキーマの修正は極めて困難になります。
人は自分の信念と一致する現象に注目し、一致しない現象は無視しがち
これを確証バイアス(Confirmation Bias)と呼びます。
科学者でさえ、自分の仮説を支持するデータばかりに目が行き、反証データを見落とす傾向があります。
6-3 スキーマが誤っているとどうなるか
私たちは、つくられたスキーマからモノゴトを捉えています。そのスキーマが誤っていた場合は、どうなるでしょうか?3つの影響をみていきましょう。
【3つの深刻な影響】
影響❶: 問題解決に必要な情報を見落とす
スキーマ:「部下は主体性がない」
↓
行動:部下の指示待ち行動にのみ注目
↓
見落とし:部下が自主的に行動した場面
↓
結果:問題の真因(コミュニケーション不足)に気づかない
影響❷: 情報を歪めて理解・記憶する
スキーマ:「上司は私を評価していない」
↓
実際の発言:「この部分は良いが、ここは改善できる」
↓
解釈:「やっぱり否定された」
↓
記憶:「上司に全否定された」
影響❸: 新しい学習が困難になる
スキーマ:「私は数学ができない」
↓
行動:数学の授業に身が入らない
↓
結果:理解が不十分
↓
強化:「やっぱりできない」
6-4 スキーマ修正が可能になる条件
では、どのような時にスキーマの修正が可能になるのか?
✅ スキーマ修正の必要条件
自分で、自分の理論と矛盾する現象を経験し、自分の思い込み理論がおかしいことを納得できた時
そのためには:
矛盾に気づく: 現象が自分の理論と矛盾することを認識する
安全に探索できる: 間違いを認めても大丈夫な環境
代替案がある: 新しいスキーマの可能性が見える
小さく試せる: リスクの低い実験ができる
継続的支援: 修正プロセスを伴走してくれる存在
【注意】: これは科学者にとってさえ容易ではありません。
有名な科学者でも、自分の理論と矛盾するデータを前にしても:
「測定ミスだろう」
「特殊なケースだ」
「理論の本質は正しい」
と解釈し、理論を守ろうとする傾向があります。
コーチの最も重要な役割の一つは:
クライアントが、自分の スキーマと現実の矛盾に「安全に」気づけるようサポートすること
【第2部のまとめ】
| 項目 | 重要ポイント |
|---|---|
| 記憶とスキーマ | 記憶は客観的ではなく、スキーマによって選択・歪曲・補完される |
| 学習とスキーマ | 学習の本質は「スキーマ構築」。同化と調節で進化する |
| 誤ったスキーマ | 自己強化サイクルで修正困難。矛盾への気づきが修正の鍵 |
スキーマを理解するコーチだけが、行動変容を起こせる
クライアントの発言や行動は、気分や性格だけでなく、「スキーマ」という認知の枠組みに基づいています。
「上司は分かってくれない」「私は向いていない」「部下は主体性がない」といった言葉は、事実ではなく、スキーマを通して再構成された“解釈”です。
本質的な行動変容は、表現される言葉の背景に構築された「スキーマ」を扱うことでみえていきます。
クライアント自身のスキーマを理解しようとする姿勢。
そして、コーチ自らのスキーマも問い続けることが大切です。

次のステップ – コーチングスクールでの学び
より専門的にコーチングスキルを身につけたい方は、コーチングスクールで体系的に学ぶのがおすすめです。スクールでは、スキーマ理論だけでなく、マインドセットやコミュニケーション技術など、幅広い知識をまとめて学べます。