「部下やチームと会話しても、なぜか意図がうまく伝わらない…。」――言葉足らずや意図のズレを後から後悔することは、どんなマネージャーにも一度は経験があるかもしれません。
このような状況から抜け出し、効果的なコミュニケーションを実現するには、自分の無意識なコミュニケーションに気づくことから始まります。
本記事では、無意識のコミュニケーションがもたらす課題とその背景、そして解決策についてお伝えします。
目次
「無意識」が招くコミュニケーションの壁
「わかってもらえない」「伝わらない」「チームの士気が上がらない」。
これらの課題の原因として、マネージャー自身が無意識に行っているコミュニケーションが大きな障害になっている可能性があります。
例えば、会議で部下が提案したアイデアに対して「それはちょっと難しいね」と反射的に返してしまう。この一言が、意図せずに部下のやる気をそいでしまうケースがあります。
無意識のパターンに気づかずにいると、意図せず同じミスを繰り返し、結果としてチームにネガティブな影響を与えることがあるのです。
無意識が支配するコミュニケーションの落とし穴
多くの人は日々のコミュニケーションを無意識で行っています。意識せずに出てくる口癖や、考え方のパターンがその一例です。
しかし、無意識の行動には以下のような障害があります。
1.原因追求の罠
問題が起きた時に「なぜダメだったのか」と自分を責めたり、原因追求ばかりに時間を割いてしまうことがあります。
要因の特定は大切ですが、過剰な責任追及に至ってしまうと建設的な議論に発展しないばかりか、行動が滞り、自己否定にもつながります。
2.行動の選択基準が「できる・できない」に偏る
「成功する確信がないと動けない」という考え方も無意識に出やすいパターンです。
リスクを事前に見積もることや、状況を適切に判断しようとする行為は、仕事をする上では必要なことです。
しかし、結果を出すために失敗しないように行動するのと、失敗を恐れて行動しないでは、ニュアンスが異なります。
過剰に失敗を恐れるあまり挑戦を避けると、新たな成果を生む機会を失ってしまいます。
3.愚痴がコミュニケーションの中心になる
無意識に愚痴を言うことで、チームの士気を下げたり、問題解決ではなく過去への執着が強くなることがあります。
これらの無意識は、問題が起きたときに「なぜ?」と考える瞬間に起こります。
無意識のうちに「自分のせいかもしれない」「部下の能力不足かもしれない」という偏った解釈をしてしまうと、行動を縛り、次のステップを阻む原因になるのです。
このような行動パターンが続く限り、意識的なコミュニケーションへの進化は難しくなってしまいます。
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無意識を意識に変えるための具体的ステップ
無意識なコミュニケーションから脱却し、意識的に効果的なコミュニケーションを行うためには、次のことを試してみてください。
1.自分のコミュニケーションを文字起こしする
日々の会話やチームミーティングを振り返り、無意識に出ている言葉やパターンを分析しましょう。「なぜこの表現を選んだのか?」「この言葉にどのような意味があったのか?」と問い直すことで、自分のクセや傾向に気づくことができます。
まずは簡単に、会話の録音を聞き直してみることから取り組んでみることがおすすめです。
特に気になる言葉遣いや、部下が沈黙した場面などを書き出してみるだけでも、重要な気づきが得られます。
2.第三者からフィードバックを受ける
信頼できる同僚やメンターに、自分のコミュニケーションについて率直なフィードバックをもらいましょう。他者の視点からの指摘は、自分では気づきにくい無意識のパターンを明らかにするのに役立ちます。
もしフィードバックを依頼できる相手がいない場合は、自分のコミュニケーションを録音してセルフレビューする方法があります。また、オンラインでコーチングやフィードバックサービスを利用するのも一つの手です
3.未来志向のコミュニケーションを心がける
愚痴や原因追求に時間を割くよりも、「これからどうするか」にフォーカスした会話を増やしましょう。
例えば、問題が起きた際に「どうしてこうなった?」ではなく、「次回同じことが起きないために何ができるだろう?」と問いかけます。
このような未来を見据えたコミュニケーションは、チーム全体のモチベーションを高め、建設的な行動を促します。
まとめ
人間は本来、無意識的にリスクを避けようとする傾向があります。それは、生物としての本能でもあり、最優先されるのは、生存に関わるリスクへの対処や、慣れ親しんだ状態を維持したいという欲求が強いからです。
だからこそ、本来の本来の目的に沿った行動が大切になります。「コミュニケーション能力を高めたい」と抽象的な目標を掲げるのではなく、目的を整理し、その達成に必要な具体的な対策をとりましょう。
マネージャーに求められるコミュニケーション能力は、単なるスキルではなく、無意識を意識化し、それを改善するプロセスです。
このプロセスは一朝一夕にはいきませんが、まずは1カ月、日々の会話を振り返る習慣をつけてみてください。
例えば、次のような具体的な変化があったかチェックすることで、進捗を実感できるでしょう。
- 愚痴ではなく未来の行動について話せている場面が増えたか?
- 部下の発言頻度が増えたか?
- 会議での改善提案の数が増えたか?
このようにチームとの日々のやり取りを見直し、自分の無意識的なパターンに気づくことで、相手の可能性を最大化するコミュニケーションが実現します。
今すぐ、自分のコミュニケーションを振り返り、文字起こしやフィードバックを取り入れてみませんか?
未来志向の対話を意識することで、あなたもチームも変わり始めるはずです。
話し手:原田大輔 聞き手:鈴木敦子 編集:永瀬もなみ |
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効果的なチームワークは、個々の能力を超えて目標を達成する傾向があります。それは、力強い味方となるでしょう。クラス修了しても成長し続ける関わりが手に入ります。